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音訳の基本技術

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【音訳の基本技術】

ここからは、主に書籍の音訳を想定した音訳の技術について紹介していきます。

音訳の原則

音訳をする上で、最も基本的で最も大事な要件は、「原文に忠実」という原則です。
これは著作権とも深く絡んでいることですが、音訳者に原文を変形する権限はありません。
仮に原文に誤植があったとしても、それを訂正することも基本的にはしません。
実際には「原文に忠実」なだけでは駄目な場合がたくさんあり、そこが音訳の難しい所なのですが、あくまでも基本は「原文に忠実」。
「原文に忠実」ということは、同時に、「正しく読む」ということを意味します。
正しく読むためには、事前の下調べが欠かせません。
その下調べの作業全般を「調査」と言います。

音訳は「調査」から

「調査」は音訳作業の第1段階です。
音訳者は、録音する前に必ず原文に目を通し、読みを確認します。
主に調べるのは漢字の読みですが、外国語や記号など、読みのわからないものは全て調べます。
大丈夫だろうと思う箇所でも、自信がなければ必ず確認します。
普通名詞に関しては、難しい漢字であっても、何とか正しい読みにたどり着けるものですが、
地名や人名など、固有名詞の読みの調査は厄介です。
同一表記の地名が、地域によって時代によって、異なる読みとなるケースも多々あります。
マイナーなものになるほど調べる手立ては少なく、調査の難易度は上がります。
他にも、専門用語、古語、当て字、造語・・・。
変則的な読みの登場は、特殊な本に限りません。
1文字でも読みのわからないものがある限り、完成には到らない。
迅速かつ正確に調査を進める技術は、音訳者にとって大きな資質と言えます。

「処理」技術

先に言いましたが、音訳の原則は「原文に忠実」です。
しかし実際は、それだけでは不十分です。
“情報の補完”。
この仕事が音訳に欠かせない要素です。
文字情報を音声情報に変換する過程で、情報の量は必ず低減します。
対象物の性質等によって、情報量の減りやすさにはずいぶん違いがありますが、どのような対象でも、情報が少なからず低減することは避けられません。
語弊があるかもしれませんが、一定の低減はやむを得ないと言えるでしょう。
肝心なことは、完成した音訳書によって、原本を目で読む場合と同等の情報を得られるかどうかです。
「目のかわり」という目的を如何に満たすか。
全ての判断はそこから導かれます。
できるだけ情報を減らさず、かつ、聞いて理解しやすい形になるよう、手を加える必要があるのです。
その技術が、「処理」と呼ばれるものです。


Last Update 2010-06-03 (木) 12:39:14

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