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音訳・点訳の多様化とマイク

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音訳・点訳の多様化とマイク

一応、書きかけた手前、前回のつづき。
マイク購入、想定の二つ目は音訳サービスの多様化にあります。

現状、音訳・点訳のサービスは、専ら書籍を対象としたものに限局しています。
かれこれ半世紀以上前に端を発する点字図書普及に向けての取り組みの流れが、今に続いていると言ったところでしょうか。
あとは著作権法との関わりも影響しているかもしれません。
その流れ自体をとやかく言うつもりはないです。
点訳図書・音訳図書をここまで整備した先達の功績は本当に偉大。
技術の確立に加え、全国統一の製作基準の策定、それによって可能になるボランティア力の効率化。
長期ビジョンに立って動いています。

ですが、点訳・音訳の活動がこうして一つの安定期に入っているならば尚更、新しい音訳・点訳サービスの形を具現する時期に来ているのではないかと思うわけです。
社会の技術環境はかなり大きく変化しました。
視覚障害者の情報環境も、半世紀前とは大きく違います。
当然、利用者側のニーズの変化もあるはずですし、逆に、同じニーズに対する対応の可能性も変化した。
パーソナルコンピューター、インターネットの普及、それらの能力の向上…。
10年前にはまだ無理だったことも、今なら可能。
ましてや50年前には想像すべくもなかったことが、家庭レベルで可能になっています。
ならばそれを活用しない手はない、という話。

音訳・点訳サービスをどのように拡大するかについては色々な意見があるでしょうが、一つ追求したいと思っているのはスピードです。
今すぐ必要なものが、すぐに手に入る。
仕事の書類、学校のお知らせ、回覧板、スーパーのチラシ…。
明日じゃダメなものって結構あるかと。
対象は書籍に限らず、文書とも限りません。
例えば、おなかがすいてカップラーメンを食べようと思ってるけど何分待つのよ?とか、どれが賞味期限古いだろ?とか。(そんなニーズがあるかどうかは知らないけど)
そのような情報を保障するのも、情報保障の意義ではないか。
そういう細かい事の積み重ねが、意外と大きなQOL向上につながるのではないかと思います。
私見ですが。
ネットテレビ電話の利用、QRコードの利用、ユビキタスの利用。
情報保障を実現する方法は色々だろうと思いますが、安定して使えるサービスを実現するには、メカニカルな面、セキュリティの面のほか、安定したスタッフ数の確保が不可欠です。
それが実際には一番難しい問題かもしれない。
では、どうしたらいいか。

ここに、音訳や点訳に携わるハードルを下げて、裾野を広げることを考えます。
技術力に応じて関わる範囲を制限することで、参画の道を太くする。
たとえば上の例で、カップラーメンの浸水時間の表示を読むなんていうことは音訳もヘッタクリもない。
字が読めて、ある程度聞き取れる日本語が発声できれば用が足りる場合も多いはずです。
やたら門戸を広げると、責任感の無い人が混じるとか、情報保障の理念に反する人が出てくるとか、そういう危惧は言われていますが、そこは音訳者なり点訳者なりの役割として、情報保障としての質が担保するための仕組を作ればいいだけかなと思います。

音訳者は音訳者として、その他に、本の音訳なんかは無理だけど…という音訳スタッフがいていいと思う。
同じく、点訳者は点訳者として、点訳知らないけどテキスト化ならできるよ、というスタッフがいていいと思う。
裾野の拡大で一定のボランティア人数が確保されれば、それによって可能になるサービスも出てくるでしょう。
うまく人材なり技術なりを組み合わせていけたら面白いのではないかと思います。

で、無理やりな展開ですが、マイク。
ちょっとした音訳でも、マイクはある程度良いほうが良いわけです。
最近多いWEBカメラ付属のマイクなどは、無指向性のものが多くて音の質は落ちる。
別に5000円以上のマイクじゃなくても、少しまともなマイクを使うだけで、音質はかなり変わります。
ということで、裾野が広がって多くの人が音声訳の一端を担うようになるとして、やはりマイクを買う人は増えるかなと。

こんなに長く書くつもりは毛頭なかったんですが、なんか長くなりました。
一応これで終結。
次は、音訳とマイクの続き?


Last Update 2010-06-03 (木) 13:58:40

本文終了

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