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要約筆記の勉強法3

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要約筆記の勉強法3 手数と効率を考える(後)

前回のつづきです。
筆記動作の手数とその効率を考える、という話でした。

手書き要約筆記の表記検討は今まで幾ばくか話しているので、ここはPC要約筆記について。
PCでは、操作の手順が主な問題です。
流れや段取という意味ではなくて、1個1個の動作とその順番といった意味での「手順」。
どう打ってどう変換したら最も確実に速く表出できるか、打鍵速度以外の部分での速度効率が検討の対象です。
「確実に」も検討するっていうのがポイントでしょうか。
ここで大事なのは、感覚的に判断するのではなく実証的に検討するということ。

少し具体的に言ってみます。
1.同一文字列を表出するための必要打鍵回数をパターン別に比較
2.同一文章を表出する際の、入力区切り別の打鍵効率、確実性の比較
3.狙った漢字を出す方法(別音入力,熟語出力後に文字消去etc.)それぞれの手数を比較
これだけじゃないですが、何となくイメージ湧きますでしょうか。
打ち出したい文の読みをそのまま入力・変換して、それですんなり出てくるならいいんですが、実際はそうとも限らない。
文節単位で打ったほうが良いもの、句単位で打ったほうが良いもの、名詞と助詞を分けて打ったほうが良いもの、分けないほうが良いもの。
熟語の形で打ったほうが良いもの、1文字ずつバラバラに出したほうが良いもの。
字音で入力したら良いもの、字訓で入力したら良いもの、別の熟語をいったん出してから不要文字を消す方法が良いもの。
同じものを表出するにしても、パターンは色々です。
IMEの学習機能の設定等によって、また対応も違ってくる。
別に、打鍵回数を比較したところで、必ずしも少ないものを選ぶとは限りません。
分かった上でするのなら、打鍵数の多い手順を選んだって構わない。
他の要素も考慮し、最終的には現場の状況に応じて総合的に判断する。
その判断の根拠として、検討の結果は大いに参考になります。
また、「効率の良い入力」というのも、そんなに究極を求めるわけではなくて、そこそこ効率の良い方法が色々ある中で自分に合ったものを選んで使い込んでいけばいいと思います。

近年のPCの普及から、入力が速い人というのは結構いるんですが、一貫した確実性があるかというと、微妙な場合が多い。
普段の入力ならば時々アリャ?となったところで打ち直せば済む話ですが、同時通訳の中では余分な時間はないですし、大きく戻って直すこともできません。
予定外のモタつき方をすると、情報落ちの危険に直結することになります。
多少スピードが遅くてもコンスタントに確実に打てるほうが、PC要約筆記には適しているのかもしれません。
もちろん、全面的にパソコンの変換機能に委ねて所々誤変換を混ぜたまま突き進んでいく…というのは、よほど特殊な条件下でない限り論外でしょう。
検討作業は、一つ一つ見れば、そんなのどっちでもいいんじゃない?って思うようなものが多いもんですが、そうした結果が蓄積してくると、入力速度が上がるだけでなく、筆記の安定感が増す気がします。
検討の過程で多様な入力手法に触れることで技術に幅が出るということなのかもしれません。
私はPC要約筆記の経験は少ないですし、検討作業も手書きに比べればちょびーっとしかしていないので、あんまり大きなことは言えませんが。

ちなみに私の入力は、今のところ、こまぎれに固めていく方法です。
他の人の方法をそんなに知らないので何とも言えないですが、結構細かいほうだろうと思う。
間違えたとしても文節1個分以上戻ることはないだろう、という感じです。
正直、作業効率はあまり良くないです。
これは、モニターを見ないで打つシチュエーションが混じる中で対応していったら段々こういう形になってきた…っていうだけなので、別にお勧めしません。
特にBM通訳のとき、この習慣は凄く邪魔になります。


Last Update 2011-05-16 (月) 05:24:21

本文終了

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