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要約筆記実践11 列挙された並列情報―抽出法まとめ

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要約筆記実践11 列挙された並列情報―抽出法まとめ

前回は、抽出法の例を紹介しました。
要約筆記の場合は、原文によって処理が決まるわけではないので、状況設定抜きで具体例を出すには問題があるのですが、それを気にして抽象論に終始するだけではイメージしにくいと思って処理例を出しています。
こうして抽出法のような説明をすると、「情報を落としても良いと言っている。利用者は全部を知りたいのに」というような批判を受けたりします。
実際、現場でも「さっき、○○という言葉が抜けていた」というような指摘を利用者さんから受けることがあります。
落としてはいけない要素を落とした場合であれば、訂正でも流すべきかと対策を考えるところですが、要約筆記として適切な処理をしたケースでの指摘の場合は、少し対応に困ります。
言いにこられるタイミングが筆記の最中だったりすると特に。
正直、それを指摘できている時点で、少なくともその利用者さんには支障は生じていないだろうと思ったりもするわけですが、実際に情報が抜けていることは確かなので、要約筆記者としては、ちょっと痛いところを突かれた気分にはなります。
しかしながら実際問題、それを言っては要約筆記自体が成り立ちません。
物理的な限界と、同時通訳の特性と、その他色々なものを考慮して要約筆記の技術は成り立っています。
異論のある方もいらっしゃるでしょうが、大局を見てほしいなと思います。
もちろん、聞いた言葉をそのまま残すべき場面もあるので、その場合はそういう処理をします。

と言ったところで、抽出法についてまとめます。
1.象徴的な具体例が含まれている場合は、それを拾う。
一つの具体例が状況を如実に表す場合があります。
そのような要素が含まれている場合は、それを優先的にピックアップします。

2.物理的許容範囲の中で、偏りなく拾う。
特別な要素が無い場合は、元情報が浮かぶような要素をバランスよく拾います。
ただし、判断にあたっては、物理的制約への対応のほうが優先されます。

3.特に区別がなければ、筆記速度などを勘案して拾う。
完全に並列に近い情報ならば、書きやすいものをピックアップして構いません。
少なくとも筆記時間の長いものは、基本的には避けるべきです。

4.最悪、覚えているものを拾う。
全然良い処理ではありませんが、現実的な処理。
覚えていないものは仕方がないです。
「なんだっけ?」などと周りに聞いて時間を潰したり、思い出せない…とばかりに止まってしまうよりは、何か一つでも覚えているなら、それを利用してズイズイ進むべき。

注意点を補足をします。
1.抜かした情報が後で出てきた時はフォロー必須
2.データ的情報にとらわれすぎない
3.補助者も頑張りすぎない
4.とはいえ補助者は上手く利用する
5.混合型の利用も有効
説明は次回。


Last Update 2010-06-03 (木) 12:01:54

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