盲ろう者とは目と耳両方に障害のある人のことをいいます。
富山盲ろう者友の会では、盲ろう者とその支援者の交流・支援活動を行っています。

現在の位置: ホーム > 盲ろう者と通訳技術 > column > 音声通訳2 音声通訳の対象

音声通訳2 音声通訳の対象

本文開始


音声通訳2 音声通訳の対象

音声通訳におけるケースを考えるにあたって、音声通訳が扱う領域について少し整理しておきたいと思います。
すなわち通訳者が対象とする情報の範囲について。

先の説明の考え方に準ずるならば、音声通訳における対象範囲は“相手の発言”ということになります。
これは一つの順当な考え方だろうと思います。
コミュニケーションを取ろうと思う“相手”、話を聞こうとする“相手”。
“相手”が単数の場合も複数の場合もありますが、その場その時に最も優先的に情報を伝えるべき発信源を想定して情報を保障するという考え方は、他の通訳行為でも当てはまります。

しかしながらその領域設定は狭義の音声通訳と言えるでしょう。
状況が自明で目的が明確であるような場合に、あるいは通訳時間中の限られた範囲で、その設定を選択するということはありましょうが、音声通訳一般の対象を説明する言葉として“相手の言葉”との表現は少し狭すぎます。
ここで、標準的な音声通訳の対象範囲について考えます。

端的に言えば、その場における“聴覚情報と視覚情報”が通訳対象となります。
(音声情報ではなく聴覚情報)
情報保障の理念に基づく設定ですが、実際問題これでは掴みにくいので、もう少し具体的に考えます。

まず、聴覚情報、視覚情報それぞれの要素に分けて考えます。
聴覚情報について。
これをメイン音声情報とサブ音声情報、それ以外の聴覚情報に分類します。
上で言うところの“相手の言葉”が即ちメイン音声情報。それ以外の音声をサブ音声情報とし、その他音声以外の音情報を別個考えます。
次に視覚情報について。
これを、“相手”に関係する視覚情報と周囲の状況に関する情報の2種に大別します。
“相手”の言葉をメイン音声情報と表現しましたので、ここで“相手”に関係する視覚情報をメイン視覚情報とします。

大雑把に分類しました。
実はこの分類、あまり上手い分類ではありません。
通訳行為の実際とあまり馴染まないのです。
しかしながら、通訳における処理を考える際に便利なので、もっと適当な分類を思いつくまで、当面これで進めます。

まとめます。
音声通訳の対象は聴覚情報と視覚情報。
音声情報は、メイン音声情報・サブ音声情報・その他の音情報に、視覚情報はメイン視覚情報と周囲状況の情報に、それぞれ大別する。

これらの情報を如何に通訳するか。
当然、全てを伝えるには情報が多すぎます。
情報の必須性と、利用者にとっても情報優先順位等を考慮した上で、情報処理をする必要があるわけですが、これは非常に難しい作業です。
特に、音声情報と視覚情報のバランスは、他の情報保障にはない、盲ろう通訳ならではの難しさです。
メイン情報とサブ情報の扱い方も、他の情報保障におけるそれとは考え方を区別する必要があるでしょう。

これらの処理を普遍化できる段階ではないので、ここで先の記事の問題に戻り、個々のケースを想定しつつ処理技術について考えていきます。


Last Update 2010-06-03 (木) 12:18:48

本文終了

powered by Quick Homepage Maker 4.27
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional