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音声通訳4 音訳と音声通訳

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音声通訳4 音訳と音声通訳

前記事で“情報を確実に伝えるためには、適切な発声技術が必要”と言いました。
音声通訳において必要な発声技術とはどのようなものか。
仮説ですが、音声通訳の発声に関しては、音訳の基礎技術が参考になると考えます。
音訳では、声だけで文字情報を正しく表現するために、様々な技術を駆使します。
詳しくは追々触れますが、音訳は情報保障を目的として発達した技術であり、技術的な面で「音読」「朗読」とはハッキリ区別されるべきものです。
音声通訳への応用の鍵となるのは、発声・発音、音声表現技術、処理の技術。
順に考察します。

1.発声・発音
声の出し方に関係する部分です。
声の大きさ・高さ、アクセント・イントネーションなど、文字通り「声の出し方」に関する要素に加え、マイクの使い方などの周辺要素も技術に含まれます。

音訳では、声の高さ・スピード・間(ま)・抑揚の調節で多くの事を表現します。
声の高さというのは、高い声・低い声という意味ではなく、個々人の声域の中でどの範囲の周波数域を使うかということ。
自分の発声音域を知り、その高さの別による声の聞こえ方を知り、その上で周波数域を安定して使い分ける技術。
かなり大事な技術です。
非常に難しいです。
周波数域を区別する技術の代表は、所謂「括弧読み」。
音声情報・視覚情報を1つのチャンネルで伝達する音声通訳において、この「括弧読み」の活用が何らかの活路とならないかと考えています。

基本的な発声(発音)法も大事でしょう。
とはいえ、別にアナウンサーのような発声技術が必要というわけでもありません。
いや、アナウンサーのように喋れるなら、それに越したことはないが、良いアナウンサーが良い音訳者とは必ずしもならないと言うか。
技術のポイントが違うということは言えると思います。
と言っても、声がマイクに入らなくては意味がないので、聞き取りやすく明瞭に発声する点ではアナウンス技術のトレーニングは有効なのではないかと思います。
声のボリュームの大小と明瞭さは直接は関係ないでしょう。
音声通訳では、音訳よりもかなりボリュームを落とした発声となるでしょうが、小さくても明瞭な発声は可能だと思います。

標準アクセント・イントネーションの使用に関しては、音訳では必須要件となりますが、音声通訳において必ずしも要件とは考えられていません。
原話との同質性を重視した場合、相手の語調を再現する選択は妥当でしょう。
ただ、音声通訳の対象は人の声に限りませんので、その他の要素を伝達する場合には、標準アクセント・イントネーションの使用を基本とするのが筋のように思います。

そして、マイクの使い方。
通訳の出来は、「発声したもの」ではなく、「実際に伝わったもの」で決まります。
マイクに向かって話す時、マイクとの距離、マイクの角度によって、声の入り方が全然違ってきてしまいます。
マイクコントロールも技術だということ。
補聴器付属のマイク使用の場合に、マイクの扱いの差がどういう聞こえの違いを生むかについては、自分で確認しにくいので難しいところなのですが、マイクの特徴には共通性があるという推察のもと、考えています。
マイクの使用法に関して、色々な基本事項が言われていますが、自分の声を録音してみるのが一番分かりやすい気がします。
自分自身が実に多くの雑音を発していることに気づくはずです。
資料を触る音、息を吸う音、マイクを触る音、口中音など。
これらの雑音はマイクの持ち方、距離、角度によっても随分変わりますので、それらを確認するためにも、是非、実際に録音してみることをお勧めします。


Last Update 2010-06-03 (木) 12:25:13

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