盲ろう者とは目と耳両方に障害のある人のことをいいます。
富山盲ろう者友の会では、盲ろう者とその支援者の交流・支援活動を行っています。

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情報保障と通訳介助技術

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【情報保障と通訳介助技術】

●情報保障とは

通訳介助をするにあたって「情報保障」という概念は欠かせません。
情報保障とは狭義には、「身体的機能の障害に起因して、情報を受信することが困難な者に対し、代替手段を用いて情報を提供し、情報不入手による不利益を軽減すること」と定義できます。
平たく言えば、視覚障害者・聴覚障害者の「目のかわり」・「耳のかわり」を果たすのが情報保障とも言えます。
ここで肝要なのは、その情報を元に思考・判断・行動する主体は、あくまで利用者自身であるということです。
「通訳介助」というネーミングから、通訳介助者は盲ろう者のお世話をする人と認識されることもありますが、通訳介助の仕事の第一義は情報の保障であり、盲ろう者の「目と耳のかわり」を果たすことにあります。

●情報保障と盲ろう通訳

情報保障の対象となる“情報”は言語情報に限らず、また、情報の存在の有無それ自体も含まれます。
“代替手段”は、利用者の残存機能を活用する様式となりますが、一人の利用者が使用する情報保障手段は一通りとは限りません。
その時の目的に応じて情報保障の手段を使い分け、また同時に複数の手段を並用することもあります。
現在盲ろうの情報保障手段として利用されている技術の多くは、既存の、視覚障害・聴覚障害を対象とした情報保障技術を応用した形で発展してきました。
しかし現段階において、それらは必ずしも盲ろうに特化した手法にまで昇華しきれていないのが現状です。
その背景には、盲ろう通訳に与えられた条件の厳しさがあります。
盲ろうという障害の個人差の大きさ、視覚障害とも聴覚障害とも違う盲ろう固有の状況、代替手段に使える要素の限界、そこに生じる通訳の物理的制約……。
視覚障害・聴覚障害の情報保障もそれぞれに難しいものですが、盲ろうの情報保障の難易度は更に上がります。
通訳介助技術の進化は今なお大きな課題です。

●通訳介助の技術

前項で、通訳介助者の仕事を3つに分類しました。
コミュニケーションの困難に対しての通訳作業、情報入手の困難に対しての翻訳作業、外出の困難に対して移動介助。
以下に、各仕事の概要と、現行の主な技術例を記します。

Ⅰ.通訳作業
通訳作業とは、主に人の音声を対象としたリアルタイムの情報保障です。盲ろう者の通訳という性質上、状況説明その他の視覚情報の保障も対象となりますが、作業の中心は同時通訳であり、通訳原理としては主に要約筆記と手話通訳が応用されます。
(例:ブリスタ、BMチャット、指点字、手の平書き、触手話、指文字、ローマ字指文字、音声通訳、筆記通訳、接近手話通訳)

Ⅱ.翻訳作業
翻訳とは、書物・ラジオ・テレビなど、広く情報媒体の情報保障作業を指します。音声・映像・墨字などの情報を音訳・点訳などの手段によって、音声・点字に変換します。文書を手の平書きで伝達するなど、対面朗読の派生型もここに含まれます。
(例:点訳、テレビおこし、音訳、字幕、テープおこし)

Ⅲ.移動介助
移動介助は、盲ろう者の移動の自由を保障する作業です。視覚障害者のガイドヘルプの技術が応用されています。音情報を得られる視覚障害者の場合とは異なり、盲ろう者の移動介助には状況説明作業が欠かせません。それも通訳行為の一環ではありますが、主目的の違いという点で、通訳作業とは区別をして考えています。


Last Update 2010-06-04 (金) 13:04:48

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