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文字おこしとは

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文字おこしとは

「文字おこし」の作業は、一般に行われているテープおこしと類似の作業です。
しかしながら、情報保障を目的とした文字おこしの場合、その目的に特化した独特の作業も必要です。
両者の大きな違いは、一般のテープおこしは、その殆どが、それを元に文書を作成することを目的としているのに対し、ここで言う文字おこしでは、音情報の保障を目的としている点。
よって文字おこしでは、語句と言語音の情報併記、発話以外の音情報の明記あるいは説明などにおいて、一般のテープおこしとは違う判断が求められます。
この点、普段テープおこし作業に慣れている人は、かえって注意が必要です。
ただ、多くの部分においては、文字おこしは一般のテープおこしの作業と同様です。
基本的には一般のテープおこしで用いられている作業基準を基本として作業を進め、そこに情報保障的な判断を加えていくという形になります。

テープおこしの表記基準

では、一般のテープおこしの作業基準とはどのようなものか。
テープおこしは、その使用目的に応じて色々な仕上げパターンがあるのですが、表記の面においては概ね一定の基準が用いられています。
詳しくは後述しますが、テープおこしの基本表記は、公用文の書き方。
「常用漢字」「送り仮名の付け方」「外来語の表記」などが、その基となります。

文字おこしの作業基準

一般的なテープおこしの基本をベースに、文字おこしのガイドラインを記します。
あくまでも、原則としての基準です。

①『常用漢字表』『新聞漢字表』の範囲内で表記する
『常用漢字表』は、漢字使用の目安として内閣告示された漢字1,945字の一覧表です。それぞれ音読み、訓読みが決まっていて、それ以外の読みは認めない。例外として、付表に110語が挙げられています。
『新聞漢字表』は日本新聞協会の新聞用語懇談会が定めた基準。常用漢字表を基としつつも、常用漢字表のうち11字を、使わない字として制限(謁、虞、且、箇、遵、但、脹、朕、附、濫、又)、代わりに6字を使える字として加えています(亀、舷、痕、挫、哨、狙)。
文字おこしにおいては、1本の製作の中での統一さえとれていれば、常用漢字表、新聞漢字表どちらの基準でも構わないものとします。
また、情報保障上の理由があれば、上記2基準以外の表記も積極的に採用するものとします。
なお、常用漢字表は、今、見直しの最中にありますので、新しい基準が決定したら、またそれに合わせて考えたいと思います。(基本的には準拠の方向)
※常用漢字表は2010年6月に改定されました。上記は改定前の内容ですが、考え方は変わりません。

②代名詞、副詞、接続詞、感動詞、助動詞、助詞は基本的に仮名で表記する。
 
③形式名詞、補助動詞、補助形容詞は基本的に仮名で表記する。

④送り仮名は、『送り仮名の付け方』に準拠する。
“活用語尾を送る”というのが本則。他にも例外、許容があり、ちょっとややこしいです。とりあえずは一読してみてください。
同じ単語でも、動詞として使うときは送り、名詞として使うときは送らないというのも原則です。

⑤外国の地名、人名、外来語、動植物名、あて字は、片仮名で表記する。
これは、『当用漢字表』の“使用上の注意事項”が基となった基準です。現実での漢字仮名使用に合わない場合は、見直しが必要かもしれませんが、一応は、これを基準としたいと考えています。
片仮名表記の場合は、片仮名語辞典などを参照し、表記を統一してください。

ケース毎に判断する場合もあるとはいえ、基本的には、上記の基準通りという認識でお願いします。
この基準を元にして、その上に情報保障としての判断を加味して最終的な処理を決定していきます。
『常用漢字表』を含め国語表記の基準は、一般の国語辞典の裏などにも掲載されていますので、参照してください。
とにかく、疑わしいものは調べる。辞書をひく。という習慣を付けてください。
大丈夫かなと思っても確信がなければ必ず確認をしてください。
くどいようですが。

次は、これらの表記基準の基となっている「公用文の書き方」について。


Last Update 2010-06-03 (木) 12:45:56

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