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要約筆記の勉強法1

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要約筆記の勉強法1 文字から音へのフィードバック

手書要約筆記とPC要約筆記1人入力に関連して、もう少し具体的に触れてみようと思います。
PCの連携入力は技術パターンがだいぶ違うので、なおかつ近年は独特な方向に走りつつあるので置いておきます。
思いつくまま箇条書き的に。

1.文字から音へのフィードバックの習慣をつける
要約筆記の目標は、音情報の保障にあります。
「情報」という言葉からか、話の内容に関わる要素に注意が向きがちですが、本来要約筆記が保障すべき情報は音声情報に限りませんし、音声情報に焦点を当てる場合であっても、理論的には非言語情報・韻律情報も含めて保障の対象。
要約筆記での物理的制約から「言葉の文字化」という部分に比重が高くなるのはやむを得ないとしても、昨今のPC要約筆記でちょいちょい見られるような、音素を文字化することだけに終始し発声音の情報保障にすら配慮が行き届かないような筆記を要約筆記と呼ぶのが妥当なのかどうかは、少し考えてしまいます。

それはさておき。
音声情報を文字情報に変換する場合、仮に逐語書きしたところで多くの情報が落ちます。
ある程度の情報低減は不可避と言えますが、であるからこそ、そうした情報低減が情報の価値・信頼性の低下に直結するのを防ぐためのフォローすることは要約筆記の重要な役割である、というのが建前です。
そうした意味を含めて、発声音と表記の関係をチェックする習慣をつけることを勧めます。
音を文字で表した際には、その文字を音へ再度変換し、元の音に当然たどりつくどうかを確認するのです。
音→文字→音という段取りを踏んで、必ずしも元の音に戻らないものは要注意。
元に戻らないケースの中にも、そのままで大丈夫な場合と、何らかの処理をしたほうが良い場合とがあるので、それを判断していきます。
漢字使用は要約筆記の表記問題の代表格ですが、中でも死角となりやすいのが同型異音語。
ザクッと例を挙げると、「私は東京の方が好き(ほう・かた)」「相手が何人でも…(なにじん・なんにん)」「今日は何で来たの?(なんで・なにで)」「止めて!(やめて・とめて)」「この英語、訳が分からん。(わけ・やく)」「お店、空いてますか?(すいて・あいて)」etc.
もうちょい良い例があったはずなんですが、まあ、こういうパターン結構ちょくちょく出てきます。
テレビの字幕でもわりと無防備な形で見かけるのが、これ。
同型異音語の場合はこう処理して…と言えるものでもなく、漢字で書くことで元情報が的確に表せる場合もあれば、逆に漢字では元情報が損なわれる場合もあるので、状況によって判断することになります。
そうした判断を瞬時にするには、普段から目を養うのがよろしかろうと思います。
もちろん、文字→音のチェックというのは漢字の読みだけではなく、文字の連なり方によって、違う区切りの読みが生まれないか等も確認します。
点訳要約筆記の場合であれば、文字列→音の確認で同一単語に戻るかどうかをチェック。
この場合に主に注意すべきは、同音異義語とらくだパターンです。

チェックは、後からまとめて見直すのではなく、書き進めながら随時直前をサラっと押さえる感じで見直せると良いです。
まとめてガッツリ勉強するというより、普段からそういう目で文字を見る習慣をつけると、いつの間にか要約筆記的な目が肥えてくるでしょう、という勉強法。
見慣れてくると、字幕やら人が書いた文章がすごく気になるようになると思います。
気になるようになってくれば、これは要約筆記的な判断能力が上がった証拠。
筆記力に大して進歩がなくても、判断能力が上がるほうが価値があると私は思います。

全然箇条書じゃなくなりましたね。
つづきは次回。


Last Update 2011-05-16 (月) 05:04:30

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