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要約筆記の勉強法5

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要約筆記の勉強法5 なぞり書き

一応、前回の続きということで。
「なぞり書き」、紹介します。
ゆっくり読み上げたら書けるけど、生の音になると全然書けない…という方には効果あるかも。

4.なぞり書き
要約筆記の筆記感覚を掴むための教材です。
音を聞きながら、あらかじめ用意された要約筆記文を書き写す(なぞり書く)という方法。
聞きながら書きつづける感覚、さっき聞いたものを書きながら次を聞いている感覚、そのズレ感、時間の進行と判断のタイミング……などを体感することが狙いです。
要約筆記のリズム感を掴む、と言ったほうが近いでしょうかね。
繰り返しする類の練習法じゃないのですが、わりと初期のころに数回入れてみると、効果のある人はグイっと上がります。
中には殆ど効果の無い人もおられますが、大方は何らかの変化が見える気がします。
効果が無い場合でも、数回やるだけなら特に害も出ないので、試してみる価値はあると思う。
何度やるかはその人次第ですが、同じ教材を使うのは1~数回で充分かなと思います。
それで効果が見えてこなかったら、それはそれということで。

今までの勉強法と違って、これは教材の準備の仕方が効果の鍵となります。
きっちり作らないと、あんまり意味ない。
で、この教材を作るのは、何気に面倒です。
なぞり書きの教材としては、対象者の筆記速度の1~2割増ぐらいの文字数の、欠陥のない要約筆記文を用意します。
極力要約率が一定で、かつ内容判断に主観の影響が出にくいパターンであることが望ましい。
この、「要約率が一定」という条件のものを一定時間分用意するのが、結構難しいんです。
要約筆記は「コンスタントに万遍無い筆記」になるのが特徴ではありますが、それはあくまで理論的な話。
文字通りに万遍無いケースというのは、現実にはありません。
大体は、多少の幅で緩急のついた筆記になる。
ですが、この練習の場合、その緩急が出来るだけ無い筆記のほうが都合がいい。
話を聞きながら、一定の時間差を保ってピターっと後追いする形で筆記する感覚を体感するのが目的の一つなので。
色々ある音源の中から、それに該当する部分を選んで教材を作ります。
できれば5分分ぐらいあったほうがいいでしょう。
そして、上でも書きましたが、判断が主観で左右するような内容もよろしくない。
妥当で無理の無い処理の連続で構成されているのが理想的です。
実際作ろうとすると大変だと思うんですが、かといって人工的に作った音源だと、あんまり面白くないんですね。
やっぱり生の音に含まれるリアルな要素は大きいです。
ただ、あまりにも音探しが大変なら、作ったらいいと思います。
その場合、録音はなるべく「読む」という意識をしない感じで。

教材は、ノートテイクぐらいの字の大きさで、充分な行間をあけて作ります。
その行間に写していけるしてように。
写すという作業にあたって、なるべく視線を移動させず済むこともポイント。
教材を使う際には、目的を説明し、ただ写さないで音を聞くこと、音を追い越さないこと、どうしても間に合わなくなったら漢字をひらがなで書くなどの処理を施してもいいが基本は飛ばさず全て写すこと、などを確認します。
あまりに遅れたまま書いていても意味がないので、最初は、ある程度以上遅れたら少し飛ばしていいと言っていたんですが、そうするとすぐに音の頭に合わせる人が出てくるので、言わないようにしました。
ちょっとずつ遅れていることは当然なので、そこを全部飛ばしちゃうと意味無いんですね。
「遅れたら…」という判断をその段階で委ねるのは難しいのだと思います。
ですから、なるべくその人に合った文字量の教材を作ることが鍵になってくると思います。
また実際に教材を使う際には、様子を観察し、遅れの大きい人には適宜次の書き出しポイントを指示することも必要だと思います。

大体こんな感じなんですが、分かりにくいですか?
手書きだけの話になってしまいましたが、パソコン要約筆記で同じようなことやるのも悪くないと思っています。
視線移動なしに書き写すための教材の作り方が分からないので、試したことはないですが。
あ、手書きの教材でも、PC要約筆記の練習に導入するのは悪くないと思いますよ。
PC1人書きの場合、時間差感とか筆記のリズムの波の出方は手書きと少しズレてきますが、筆記の原理自体は手書きと同じことなので。


Last Update 2011-05-16 (月) 05:42:37

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