盲ろう者とは目と耳両方に障害のある人のことをいいます。
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要約筆記実践1-2 追記

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要約筆記実践1-2 「みなさん、こんにちは」をどう書くか 追記

前回のつづき。
「みなさん、こんにちは。」→[こんにちは。] という処理の例外です。

例外1 書き出しが遅れた時
書き出しが一呼吸ずれれば、判断は違ってきます。
「みなさん、こんにちは」がツルツルと言われた場合、実際にペンを動かすのは「みなさん、こん」を聞いたぐらいのタイミング(目安)なのですが、仮にそのタイミングで書き出しが出来ず、「みなさん、こんにちは」を全部聞いてしまったら(更に次の発話にかかってしまったなら)、「みなさん、こんにちは」ごと捨てる判断も必要です。
それは、次の発話の内容次第。
遅れたとしても「こんにちは」のほうが欲しいなと思う場合もある。

例外2 『おかあさんと一緒』ばりに、「みなさーん、こーんにーちわー」と言った時
同じ文言も、発話に使われる時間に応じて要約筆記に使える時間も違ってきますので、話すスピードが違えは当然処理は違ってきます。
「みなさーーーん」のような間延びした発話なら、全部書く時間があるので、「みなさん」を省略する理由がなくなります。(他の要素があれば別)
ただ、こういう呼びかけスタイルの場合、その後に[会場/こんにちはー]を入れなきゃいけない場合が多いので、ノンビリ書く余裕はないかも。

例外3 話者が綾小路きみまろだった時
別にこの方じゃなくても、個性の強い話し手の場合は定石は通用しません。
挨拶自体がツカミだったりもするでしょう。
ネタの場合は、一部分を書いたり言い回しを変えたりすると意味がなくなったりするので、難しいです。
冗談に限らず、言語感覚を活用した発話は、要約筆記では扱いにくい領域です。

他にもありますが、とどのつまりが状況によって判断するという当たり前のような結論。
ただ、臨機応変というのは、当たり前のようで難しいです。
漢字を1つ度忘れしたり、ペンの出が悪くなったりしただけでも、次の処理の軌道修正が必要になったりする。
元々判断に使える時間が短いので、一瞬頭がこんがらがったりすれば、それは即ち時間のロスになり、その遅れを取り戻すのに、普通に書く以上の技術的決断が必要になります。
あくまで個人的な感覚ですが、一時のロスが4秒を超えると、取り戻すのは大変かなと思います。
(理由無く3秒以上手が止まるということは、普通あまり無い)
その辺の時間感覚は手話通訳とは大きく異なると思います。


Last Update 2010-06-03 (木) 11:56:12

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