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要約筆記実践15 読点で読ませる・文構造で読ませる

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要約筆記実践15 読点で読ませる・文構造で読ませる

前回、文意に与える読点の影響と、要約筆記の上での読点の考え方について少し触れました。
端的に言えば、読点が入っていないと文意が転換する可能性のある箇所には確実に入れる。
これが肝要です。
他は、そんなに気にする必要はないです。
一応、国語として読点の打ち方の原則のようなものはありますが、そこらへんは大体で構いません。
読みやすければ、それでいい。
肝心なのは、読点必須の箇所を見逃さないこと。
これには、補助者のフォローも効果的です。

反対に、読点を加えてはいけない箇所というのもあります。
読点必須のケースに比べると少ないように思いますが、時々あります。
しかし、この場合、読点挿入が不適であることは確かであったとしても、読点無しならOKと言えないパターンが多いのが厄介です。
入れちゃダメ。でも入れなかったところで微妙。
こうなると、読点だけの調節では不充分ということになります。
そもそも、前にも言った通り、読点のみが意味決定を左右するような文章構成自体、あまり良いものではありません。
そのような処理が妥当な場合もありますが、多くの場合はそうではない。
文構造の工夫によって誤解の可能性が回避できるなら、そのような文章を提供するのが望ましいでしょう。
誤読の余地がある文章になるかどうかを書く前に見極めることは結構難しいのですが、書いている途中であっても、「このまま行くとマズイな」と気づいた時点で、ほんの少し文構造を変えるだけで改善できることもあります。
まずは、気づくということ。
そして気づいた後、その場でとっさに軌道修正できるということ。
そのために、同じ内容を色々な文構造で書き分ける力は有効だろうと思います。

1つ例を。
「私は急いで帰ろうとする彼を呼び止めた。」
彼が急いで帰ろうとしていたのか、私が急いで呼び止めたのかが曖昧な文章です。

これを、読点の位置で読ませる場合は、
1.私は、急いで帰ろうとする彼を呼び止めた。(急いだのは彼)
2.私は急いで、帰ろうとする彼を呼び止めた。(急いだのは私)

一方、文構造で読ませる場合は、
3.急いで帰ろうとする彼を、私は呼び止めた。(急いだのは彼)
4.私は、帰ろうとする彼を、急いで呼び止めた。(急いだのは私)

どうでしょう。
読みやすさのために読点を入れましたが、3と4は、仮に読点が入っていなくても文意特定できるでしょう。
典型的な書き分けパターンの一つです。
しかし、このパターンが使えない場合もあります。
また、このような短い文章の場合は読点で読ませる手法(1、2)でも問題ありませんし、文構造の書き分けも時間的に問題なくできますが、要約筆記で扱うのは、このような短い文章ばかりではありません。
要約筆記では通常、文章を全て聞いてから書くことができないため、大きくは文構造をいじれないという側面があります。
そのへん、どう対応するか。

次は、既に書いてしまった部分の読点の不備をどうフォローするかについて。


Last Update 2011-05-08 (日) 03:15:47

本文終了

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