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要約筆記技術7 インプット量とアウトプット量

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要約筆記技術7 インプット量とアウトプット量

要約筆記の根本にあるのが、インプット量とアウトプット量の較差。
音声言語を文字で伝えようとした時、聞く分量と書ける分量のギャップが大きな問題となります。
平たく言えば、話す速さと書く速さは違うということ。
そもそも要約筆記の存在理由は、この較差があるが故と言っても良いかもしれません。
要約筆記の技術も、この較差への対処が軸となります。
他の通訳、例えば外国語通訳でも手話通訳でも、インプット量とアウトプット量の変域に然したる差はないでしょう。
対して要約筆記では、インプット量に対してアウトプット量がはっきり小さい。
PC要約筆記でも点訳要約筆記でも量的な差はあるものの、インプット量がアウトプット可能量を大きく上回っている点は同じです。
(PC要約筆記の連係入力の場合は、量的にはインプット量に匹敵する分量の表出が可能なので、ちょっと別)

では、どのくらいの差があるのか。
要約筆記は、この差を認識するところから始まります。
まずインプット量について。
要約筆記の主たるターゲットは人の音声です。
人が話す量はどのくらいか。
もちろん、人によって、話し方によって、シチュエーションによって大きな差があるので一概には言えないのですが、一人の人が話し続ける場合、毎分250字から400字という分量(スピード)が目安になります。
範囲が結構広いようですが、もちろん人による違いもありますし、同じ人であっても部分によって発話スピードは変化しますので、要約筆記の対応する幅として割と現実的な数字です。
ここで言う文字数とは、音声を標準的な表記基準のもとに逐語書きし、その文字数をカウントしたものを指します。言いよどみも文字として起こし、句読点、記号類もカウントします。空白スペースはカウントしません。
この文字数の値は、要約筆記におけるインプット量の実質と必ずしも一致しないのですが、一つの客観的指標として便利で有効な数字として多用されます。

話は元に戻って。
インプット量は250字/分~400字/分と言いました。
ではアウトプット量はどのぐらいか。
ザックリ言います。
   OHP手書では60~70字/分。
   ノートテイク手書では70~80字/分。
   PC要約筆記では、100~150字/分。
   点訳要約筆記(PC使用)では120~170字/分。
大雑把な数字ですので、あくまで目安。
ここでの文字数は、筆記したものを句読点・記号類も含めて機械的にカウントした値です。
これも要約筆記の実質と必ずしも一致しない数字なのですが目安としては便利です。
1つ補足。
上の数字は、実際に要約筆記した場合の数字なので、アウトプット可能量(時間いっぱいフルに書いた場合の可能量)より少し少ない数字になっています。
多少の時間的ロスと、処理に必要な思考の間(ま)が含まれるため。
ほぼノンストップで書き続けたつもりでも、やはり機械的に文字を写す作業などと比べれば筆記スピードは落ちます。

さて、インプット量とアウトプット量について言いました。
単純に数字だけ見比べれば、手書では4倍から6倍余りの差があります。
言い換えれば、元の発話量の20~25%程度の分量しか書けないながら、同等性を保った情報を提供するのが要約筆記の役割です。
ここに、以前述べたデータ圧縮の考え方が適用されることになります。
筆記量は2割で、データの質は7~8割保つ。
それくらいのラインが上手い要約筆記の形ではないかと思います。
理想は10割と言う人はいましょうが、それは非現実的なので。


Last Update 2010-06-03 (木) 11:48:13

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