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要約筆記技術13 筆記時間の測定法(簡易)

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要約筆記技術13 筆記時間の測定法(簡易)

前回の続きです。
筆記時間の測定法について。
筆記時間の測定は、要約筆記の検討において必須の作業です。
「これを書くのに何秒かかる」を知ることも時に必要ですが、主には、表記の別による筆記時間の差を比較することを目的に、筆記時間を測定します。
いろいろ方法はあるでしょうが、今日は簡易な方法を。
まずは、単語単位の測定の場合。

1.キッチンタイマーを用意
ストップウォッチでも良いですが、1人で使う場合はタイマーが便利です。
2.筆記具を用意
どんなものでも構いません。
紙と鉛筆でも、ボールペンでも、マジックでも。
検討したい条件に合わせるのが無難ですが、最終的には筆記時間そのものの算出が目的ではなく、複数の表記の筆記時間を比較するのが目的なので、何でも良いです。
3.測定
タイマーを10秒に設定し、検証対象の単語を休まずに連続で筆記します。
要約筆記で耐えられる読みやすさを保ちつつ、出来るだけ速く筆記します。
休まず書き続けることと、タイマーが鳴った瞬間に筆記を止めることが肝心です。
(書きかけの字もそのままに)
4.比較
検証の対象となる表記ごとに同様の測定をし、比較します。
単純には、書けた単語の数の比較によって、どちらがどの程度速いかを見ます。
また、「10÷書けた語数(中途は0.5等で勘定)」の計算で、1語あたりの筆記時間の目安を算出し、それによって、その差が平仮名何文字程度の差であるかということを見ます。
(平仮名の筆記時間の平均値は各自が一度測定してみると良い。分からなければ1文字0.5秒をもって概数とする)

大雑把に言いました。
だいぶ説明不足ですが、とりあえず、やってみられると結構新鮮な発見があるのではないかと思います。
比較結果の解釈の仕方などは、また後日説明したいと思います。
なお、要約筆記の検討をする上では、単語単位の比較だけでは不足で、文単位、節単位での比較が必要です。
この場合は、ストップウォッチが便利。
普通に、筆記時間を測定します。
最近のキッチンタイマーはストップウォッチ機能も備わっているものも多いので、もし家にあれば是非試してください。
まずは先日の例文でも。
   1. 震度6強の地震があった。(12文字)
   2. しんど6強の じしんが、石川・のと地方であった。(23文字)
お時間があれば、「地震」と「じしん」の比較も是非。
同音異義語の存在も承知の上で仮名表記を採用した理由が分かるのではないかと。

何度でも言いますが、要約筆記の技術で大事なのは「筆記時間の短縮」であって、それは必ずしも「文字数の短縮」ではないということ。
よくPC要約筆記との比較などで、「手書では2割しか書けないから」と言われますが、確かに書ける量はおおよそ2割であっても、情報量が2割しか書けないわけではありません。
2割の文字量で2割の情報しか書けなかったら、それはもはや要約筆記とは呼べませんし。

説明不足の段階であまり言っても何ですが、要約筆記者は、こういう処理検討を重ねて定石を出していってます。
検討を重ねるにつれて経験値があがっていき、迷わず処理できる部分が増えていきます。
いつも何となく書いているだけでは、それなりに慣れることは出来ても、その上の段階に行きにくいかもしれませんね。


Last Update 2010-06-03 (木) 11:52:44

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