盲ろう者とは目と耳両方に障害のある人のことをいいます。
富山盲ろう者友の会では、盲ろう者とその支援者の交流・支援活動を行っています。

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翻訳技術 概説

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【翻訳技術 概説】

現在の主な翻訳技術について概説します。
前記しましたが、ここで言う翻訳とは情報の形式の変換を指します。
ここに紹介するのは、あくまで基本的な方法・様式です。
「テキスト化」「テレビおこし」は一般的な技術ではありませんが、富山では利用しているため項目として掲載しました。
なお、本項では詳しく述べませんが、翻訳作業には著作権法が大きく関わってきます。
情報保障を目的とする著作の取扱いに関しては、福祉・教育の観点から法的に配慮がなされていますが(著作権法第37条)、細かく規定がありますので注意してください。

主な翻訳技術

点訳

点訳とは、「墨字で書かれた文章を点字文章に変換する作業」を意味します。
点字のルールに則り、原本に忠実に点字化します。
この「原本に忠実」というのは、翻訳作業全般に共通する大切な理念です。
原本に図表や写真等があれば、適切に説明を加え、情報を保障します。
現行の主な点訳の活動は、点字図書の作成。
専ら点訳ボランティアにより作成された点字図書が全国で貸し出されています。
以前は点字用紙に印字していた点訳作業ですが、最近は殆どパソコンのソフトを用いて点訳データが作成されています。
点訳とは逆に、点字の文章を墨字文に直す作業は「墨訳」と呼ばれます。
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音訳

音訳とは、「墨字で書かれた文章を音声化して録音する作業」を意味します。
原本に忠実に、正確に伝わるよう、音声表現技術を駆使して読み、録音します。
中途失明者などで点字図書を利用できない視覚障害者にとっては貴重な情報保障手段となります。
点訳と同じく、原本に図表や写真等があれば、適切に説明を加え、情報を保障します。
現行の主な音訳の活動は、録音図書の作成。
録音図書は、以前はカセットテープ録音でしたが、今はデジタル録音に移行しています。
広義には、対面朗読、パソコンの読み上げソフトによる音声化なども音訳に含まれます。
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対面朗読

対面朗読とは、「音訳を対面ですること」を意味します。
音訳サービスの一環として、利用者と音訳者が直接対面した形で音訳作業を行います。
1冊の本を最初から最後まで通して録音する録音図書製作とは違い、必要な資料の欲しい部分だけの音訳などが可能になります。
また利用者は、疑問や要望を即座に音訳者に伝えることができるため、より個人のニーズに応じた音訳も可能になります。
提供情報の形を点字や触手話などに変えることで、対面朗読のサービスの盲ろう者利用も想定できます。

テキスト化

テキスト化とは、「文字情報をテキストデータに変換すること」を意味します。
パソコンを使う盲ろう者においては、文字がテキストとして取り出せる情報であればアクセスが可能です。
したがって、墨字や、画像上の文字情報など、そのままでは読めない情報をパソコンで打ち直し、テキストデータとして提供することで、一定の情報保障が実現します。
テキスト化は、正規の点訳と比べれば情報の質が落ちる面もありますが、文字列をそのまま打ち直すだけの作業なので、点訳の技術のない多くの人も作業を担うことができ、また比較的短時間でのデータ提供が可能なため、目的によっては利便性の高い手段となります。
なお、“そのまま打ち直す”というのがベーシックな手法ではありますが、応用技術として、「自動点訳のための表記操作を加えたテキスト化」、「要約テキスト化」などがあります。
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文字おこし(テープおこし)

文字おこしは、「録音された音声を文字化すること」と言えます。
基本的な作業内容は一般に行われている文字おこしと同様ですが、情報保障として文字おこしを行う場合、少し作業が異なる部分も出てきます。
データの主な表出パターンは、墨字、墨字データ、テキストデータ、点字、点字データ。
文字おこし単独での利用のほか、他の技術の素地として利用されることが多い技術です。
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テレビおこし

テレビおこしとは、「動画情報(映像+音声)を文字情報に変換する作業」を指します。
動画情報の代表格ということで、「テレビおこし」と名前が付いていますが、テレビ番組に限らず、動画全体に活用できる技術です。
視覚情報と聴覚情報を組み合わせ、それだけを読んでテレビを視聴するのと同等の情報が得られるべくデータを作ります。
テレビの音声情報を表したものとしては字幕があり、視覚情報を表したものとしては副音声がありますが、それらを単純に合体しても必ずしもテレビおこしとはなりません。
まだ新しい技術であり、技術の進化が求められています。
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実験中の翻訳技術

録音要約筆記

録音要約筆記とは、「録音された音声を要約筆記し、そのデータを提供するサービス」を指します。
ノンリアルタイムの要約筆記とも言えますが、同時通訳としての要約筆記とは、少し処理が異なってくる部分も出てきます。
即時性を求められない分、ある程度自由な要約率の設定が可能となります。
音情報を要約筆記形式で把握し、より詳細を知りたい部分を絞って時間枠指定でテープおこしを依頼する、といった使い方を模索しています。
技術者の数と質の確保が課題。

遠隔地対面朗読

遠隔地対面朗読とは、インターネットを用いて行う「遠隔による対面朗読」です。
スカイプなどのテレビ電話機能+チャット機能を用い、利用者側から提供された映像データ(画像データ)を元に、対面朗読を行います。
URLを指示して、ウェブページ上の画像解説、検索結果の斜め読みなどを行うことも可能です。
一般的な対面朗読のイメージとは違い、かなり短時間の利用を想定しています。
表出方法としては、音声、点字、テキスト、手話の使用が可能。
通訳者の恒常的な確保(量・質)、個人情報の取扱いを含めたセキュリティの課題などはありますが、移動の困難を抱える盲ろう者にとって、遠隔操作による情報保障ツールの存在は有意義であり、展望性のある技術と考えられます。


Last Update 2010-05-23 (日) 14:09:36

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