富山県美術館を楽しもう
7月17日 富山県美術館を楽しもう
7月17日(日)、「富山県美術館のコレクション展を楽しもう」という企画を実施しました。視覚障害のある人も含めて会員15人が参加、3つのグループに分かれて、それぞれ学芸員さんの案内で、美術館が所蔵する作品を見て回りました。
最初に学芸員さんが、「この絵は何が描いてあるか、どんな印象か、自由に発言してください」と問いかけ、みんなが思ったこと感じたことを発言します(対話型鑑賞)。全盲や弱視の会員は、その会話を聞きながら、どんな絵なのか想像を膨らませます。ひとつの作品に15分くらいかけて、じっくり見ていきました。
「衣装はなに?スカート?」(弱視会員)
「超ミニではないが、結構短い。私ははけない(笑)」
「表情は暗めかな」
「この少女は、待っても人が来ないんじゃないかな。ずっと待ってるけど」。
「どこでそれを感じましたか?」(学芸員)
「少しうつむいているから。ちょっと寂しそうだし」
「疲れている感じもするね」
「彫刻というのは、昔は理想像だったのですね。馬に乗った素敵な将軍とか。きれいな女の人とか。シーガルは、誰でもが目にするような現実を彫刻にした。それでものすごく評価された作家なんです」(学芸員)。
「テーブルの上に裸の男がお尻をこちらに向けて横たわっている。へんな感じ。あまり見たくはない絵だなあ」
「生きているの?」(全盲会員)
「生きていると思うんだけれど、体がへんに、ねじれている」。
「ポーズが不自然。テーブルの脚かな?牛の脚みたいなものがテーブルから生えているような」
「想像もできないなあ」(全盲会員)
「フランシス・ベーコンという人は、たくさん人物を描いています。体がぐにゅっと曲がっていたり、すごい速さで動いたり、ぶれたような形をしていたり。絵にはテーマがあって、これは闘牛場をテーマにした作品ではないかと言われているんです」(学芸員)。
「全体が宇宙の青。まんなかにおおきな球。5層くらいに輪が広がる。お釈迦様とか五重塔がいっぱいちりばめられています」。
「大きな山が宇宙に浮かんでいるような感じ」
「見ていると気持ちがすうっと落ち着いてきますねえ」
「前田常作という富山県出身の人が描きました。立山連峰も高岡の大仏さまも、ここに描かれているんですよ。仏教の曼荼羅のスタイルではなくて、オリジナル曼荼羅なんですね」(学芸員)。
「想像すると壮大な感じの絵ですね」(全盲会員)
視覚障害のある会員にとっては、想像が膨らむ絵と、まったく想像できない絵があったようです。課題も残りましたが、視覚障害のある人の美術鑑賞という、あらたなチャレンジの第一歩となりました。
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