盲ろう者とは目と耳両方に障害のある人のことをいいます。
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テキスト化の分類

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テキスト化の分類

テキスト化も、目的によって作り方は違ってきます。
それぞれの方法論を詰めていくことで、技術者の共通理解が得られ、安定したサービス提供につながると考えられます。
以下は、主なテキスト化の分類です。

標準テキスト化(最も単純なテキスト化)

原文をそのまま写す方法です。
最もベーシックなテキスト化のスタイルと言えます。
作成者に点訳に関する知識は全く必要ないため作業スタッフの確保が比較的容易であり、また、作業分担による混乱も少なくてすむため、作業分担による迅速なサービス提供が可能になるという特長があります。
点訳に配慮されていないデータであるため、利用の際に一定の不都合は生じますが、それは一般のWEBページを読む場合と同じ条件。
それを問題にするかどうかは、個々の利用者の考え方と、その時の目的次第です。
作業過程において技術者の判断が入らないということは、翻訳過程での情報の歪みが生じないという意味で、長所と考えることもできます。
そうした特徴を承知した上で割り切って使う分には、メリットも多い手法です。
一番大きなメリットは、サービスの迅速性。
A4用紙1枚、1500文字程度の中身であれば、事務処理・校正を加えても30分程度で提供することが物理的には可能です。
早さだけから言えば、点訳者でも同じぐらいの早さで仕事は出来るでしょうが、常に点訳者が待機している体制を作ることは極めて難しい。
その点、諸問題はありますが、標準テキスト化であれば、常時安定したサービスを提供するシステムの実現は、遥かに現実的です。

また、補正テキスト化、点訳用テキスト化などに二次利用することを前提として、標準テキスト化の工程を踏むことも想定できます。
二度手間で効率が悪いようにも見えますが、限られた技術力を有効に使い、広いニーズカバーを実現する為には必要な考え方と言えるでしょう。

補正テキスト化

主に表記の部分に操作を加えたテキスト化です。
テキスト化する過程で、自動点訳に配慮し、平仮名・片仮名・漢字などの表記変換、ルビ挿入、マスあけ等の処理を行います。
基本的には、レイアウトに関する部分は触りません。
元の文字情報はそのままに、点訳ソフトに読ませるための表記・構造に変形していくという感覚です。

元々テキスト化は、自動点訳ソフトを介して読むことを前提にしています。
本来なら、実際に利用者の手に届く情報の形を把握せずして情報保障は成り立たないのですが、自動点訳後のデータ形は個々の利用者の環境に大きく依存するため、最終的にどう点字化されているのかを把握することは困難です。
しかしながら、各ソフトが基本とする点訳ルール自体は同じ。
基本的な点訳ルールに鑑み、点訳ソフトがミスをしにくい漢字仮名混じり文を作ることで、点字化した時の読みやすさ、正確さの向上を図るのが、「補正テキスト化」です。
主なポイントは、自立語の頭の易判別性を高めること、同形異音語の有無に注意すること。
詳しくは、次の「点字化を想定した漢字仮名混じり文」にて紹介します。

補正テキスト化は、出来る限り正確に情報を伝えることを目的とした技術ですが、下手に使うと、かえって逆効果になる場合もあります。
慣れるまでは特に、点訳ソフト等で確認しながら作業をすることも必要でしょう。

点訳用テキスト化

点字文書作成のためのテキスト化です。
レイアウトも含め、正式な点訳データを作ることを前提にしてテキスト化します。
テキスト化したデータを点訳ソフトにかけ、それを校正して仕上げることになります。
点訳エディタの精度が上がったことで、対象によっては、こうした手法で点訳することも増えてきました。

要約テキスト化

原文を要約しつつテキスト化するという手法です。
要約率(圧縮率)は一定の幅で調節が可能であり、ニーズに応じた部分重点型の要約も可能です。
部分重点型とは、目的が予め明確である場合に、内容によって要約率を調節する方法。
必要な部分では要約率を上げ、その他の部分は要約率を下げることで、総データ量を抑えつつも必要な部分は厚く情報を得ることができます。
斜め読み、拾い読みといったニーズに適しています。
安易な要約は誤った情報伝達にもつながるので、技術者は注意が必要です。


Last Update 2010-06-03 (木) 12:50:00

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