盲ろう者とは目と耳両方に障害のある人のことをいいます。
富山盲ろう者友の会では、盲ろう者とその支援者の交流・支援活動を行っています。

現在の位置: ホーム > 盲ろう者と通訳技術 > 翻訳技術 概説 > 点訳 > 点訳入門(5)

点訳入門(5)

本文開始


点字表記の原則は‘発音どおり’

点字にはいくつか、特有の仮名遣いがあります。
その代表は助詞の「は」と「へ」です。これは、「わ」・「え」と表記します。
聞いた音の通り、発音の通りに表記しようという考え方が原則となっています。
そのため、旧仮名遣いの名残として一部残っている墨字の仮名遣いとは、違う部分が出てくるのです。
上の例で、『今日は』→『きょーわ』、『学校へ』→『がっこーえ』となっているのはこのためです。
なお、助詞「を」はそのまま「を」と表します。

ウ列とオ列の長音は長音符で

長くのばして発する音のことを長音と言いますが、点字では、ウ列の長音とオ列の長音は長音符「-」で書くというルールがあります。上の例でいうと、『きょー(今日)』『がっこー(学校)』がそうです。これらはオ列の例ですが、ウ列も同様。『すーじ(数字)』『ちゅーもん(注文)』などとなります。
ア列・イ列・エ列の長音は墨字と同じ仮名遣いです。
つまり、お父さんは『おとーさん』となりますが、お母さんは『おかあさん』。『おかーさん』とはなりません。お兄さんも『おにいさん』。お姉さんも『おねえさん』。弟は『おとーと』。友人は『ゆーじん』です。何となくイメージできるでしょうか。
ただし、長くのばして発音する場合でも、「お」で書き表す場合は、長音符にはなりません。
神戸は『こーべ』ですが、大阪は『おおさか』という具合です。『おーさか』にはならないのです。
また、動詞の語尾が「う」で終わる場合は、長音符にはならず、そのまま「う」と書きます。
‘思う’は『おもう』が正解で、『おもー』にはなりません。ただし、‘買おう’は『かおー』。‘買おう’の「う」は助動詞であり、動詞の語尾の「う」ではないからです。
この他にもパターンが色々あってややこしいのですが、とりあえず基本的な規則だけ知っていればいいかと思います。

分かち書きの原則② 「切れ続き」

文節の切れ目で分けるというのが原則ですが、場合によっては文節の途中で区切ることがあります。
主に、長い複合名詞の表記の際に用いられます。
基準としては、「複合名詞の内部に3拍(モーラ)以上の意味のまとまりが2つ以上ある場合、その境目で区切る」、「2拍以下の意味の成分は、副次的なものは続け、独立性の強いものは区切る」といった原則があります。やや感覚的な基準であり、判断に迷うことは少なくありません。
大事なのは、切れ続きはあくまでも、意味の理解を助ける目的で用いられるものであるということです。長い複合語であっても、意味の理解を損ねる恐れがある場合は分けずに続けて書きます。
機械的に拍数だけで分けないよう、点字利用に関する理解が必要です。

以上を踏まえて、先ほどの例をもう一度見てみましょう。
『今日は学校へ行って点字の勉強をしようと思う。』
→『きょーわ がっこーえ いって てんじの べんきょーを しよーと おもう。』
いかがでしょうか。
この段階までわかれば、点訳はできたようなものです。あとは各文字を点字に置き換えるだけ。
パソコン点訳の場合なら、上記の‘分かち書き文’をそのまま入力すると、点訳ソフトが点字に直してくれます。


Last Update 2010-06-03 (木) 12:32:05

本文終了

powered by Quick Homepage Maker 4.27
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional