盲ろう者とは目と耳両方に障害のある人のことをいいます。
富山盲ろう者友の会では、盲ろう者とその支援者の交流・支援活動を行っています。

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処理技術の実際

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【処理技術の実際】

主な処理技術として、「読みの工夫」「説明の挿入」「情報を補う言葉を加える」の3つを紹介しました。
さらに詳しく見ていきます。

読みの工夫

読み方(声の要素)に変化をつけることによって、原文にない言葉を加えることなく、符号を含めた原文の情報を、より正確に音声化する技術です。
「音訳表現技術」とも言われます。
変化の要素は主に2つ。
①高さ(ピッチ)
②速さ
ベースとなる読みよりも、少し高い・低いトーンに切り替えることで、地の文と台詞、引用文、注釈、補足、見出、ルビなどとを区別します。(読みの速さの変化も同時に加えます。)
代表的なのが、いわゆる『括弧読み』です。
「全要研(全国要約筆記問題研究会、1983年設立)では、・・・」のように、補足説明が括弧書きになっているような場合に用います。
具体的には、括弧の中の言葉を、ベースの読みの声より半オクターブ程下げた高さで、やや速めに、抑揚を抑えて読みます。本文と括弧内とを区別しつつ、原文の流れのままに読み進めることができます。
補足ですが、符号の名称を直接読む方法もあります。
先程の例で言うと、「全要研、カッコ、全国要約筆記問題研究会、1983年設立、カッコ閉じでは・・・」のように表現する方法です。
「原文に忠実」という原則からすると、符号類は個々表すほうが正確だとも考えられますが、多くの場合、符号類をそのまま読むと耳障りで、逆に意味がとりにくくなります。
その符号自体をはっきり示した方がいい場合を除いては、できるだけ、音声表現技術によって処理するのが一般的です。
ただし、この処理の方針は、音訳対象の性質によって異なってきます。
小説と教科書では、当然処理の方法は変わってくるでしょう。
処理の方針は、音訳する前に決定し、本ならば1冊通して、一貫した方針を持って行います。

説明の挿入

読みの工夫で表現しきれない部分は、言葉を加えて説明します。
原文にない言葉を加えることになるため、音訳の原則から言えば、本来多用すべきではありません。
しかし「原文に忠実」ということに囚われて、説明の挿入を控えたのでは、音訳の目的である「目のかわり」を果たせません。必要な場合には躊躇せず挿入することも必要です。
とはいえ、やはり原文にない言葉を加えるわけですから、挿入の言葉、読む順序、挿入の場所などは、しっかり検討して、慎重に進めるべきでしょう。


Last Update 2010-06-03 (木) 12:39:49

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