盲ろう者とは目と耳両方に障害のある人のことをいいます。
富山盲ろう者友の会では、盲ろう者とその支援者の交流・支援活動を行っています。

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視覚情報の入れ方4

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視覚情報の入れ方4_図表の扱い

今日は、可視化された情報の中でも図表に限定して話を進めます。
テレビ番組の中でも情報番組の類は、概して図表が多用される率が高い。
それをどう扱うかという問題です。

図表の基本的な扱い方

まずは結論から。
・用語がある場合は、それは使う方向で。
・その上で必要に応じて、その用語の説明を加える。
基本はこのように考えています。

用語がある場合

用語がある場合とは、図表の種類が明確に分かっている場合とも言えますが、そういった場合に、その図表自体の説明を、形や何やの視覚的要素の描写で行うというのは、情報がかさばると同時に読み手の解釈の余地が無駄に広がるということになります。
用語があるなら、それを使えば対象は特定されます。
問題は、その用語が一般的に認知されているかどうかという点ですが、仮に汎用性の低い用語であっても、それを提示することはデメリットではないと考えます。
少なくとも、図表の名前が提示されれば、対象物が単に自由に描画されたものでなく、典型的な何かであることが判断できる。
その用語に一般性が無いと思えば、用語を出した上でその用語を説明するという手法を取ればいい。
一々用語の説明をするのも不都合だとなれば、テレビおこしで使う用語のハンドブックを別個作るというのも一手でしょう。
ここら辺は、同時通訳である要約筆記等とは考え方を異にする点です。

使っていい用語とは

では具体的に、どのような用語を使っていくか。
帯グラフ、棒グラフ、円グラフぐらいの用語は当然に使って良いでしょう。
樹形図、フローチャート、正規分布あたりの言葉も、使わないと苦しいかもしれません。
ひそかに外せないのがベン図です。
あまり一般語ではない気もしますが、盲ろう関係ではベン図が頻出です。
必出と言えるぐらい出てくるので、技術者として「ベン図」は注釈なしで使わせてほしいと密かに思っています。
とはいえ、やはりどこまでの用語を注釈なしで使うかというのは難しいところです。
用語を使おうとしたばかりに間違った用語を出してしまうのも怖いところです。
用語を間違えた場合には、逆にマイナスの効果が発生してしまいますので。
帯グラフと書くべきところを棒グラフと書くような間違いなら校正で気づけるかもしれませんが、オイラー図と書くべきところをベン図と書いてしまった場合に気づけるかどうか…。
また、必ずしも厳密な用語を書かないほうが分かりやすい場合もあるかもしれません。
ヒストグラムと書くほうが妥当な場合でも、棒グラフと表記するほうが良いと判断するかどうか等は、迷うところです。
そして、注釈の入れ方も懸案事項です。
点訳者註のような形にするか、別個のスタイルが良いか。

検討すべきことが山積の図表の処理ですが、現時点での方針は冒頭の通り。
これから多くの例を扱う中で、また定めていきたいと思います。
皆様にもぜひ、テレビおこしをする中で、課題を提起していただければと思います。


Last Update 2010-06-03 (木) 12:44:39

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